ジャガイモ(馬鈴薯)の連作障害とは?原因・症状・対策と輪作のポイントを解説
ジャガイモ(馬鈴薯)栽培で注意したいのが「連作障害」です。同じ畑で栽培し続けることにより、収量低下や病気の原因を招きます。本記事ではジャガイモの連作障害の原因と症状、事前の対策や輪作のポイントをわかりやすく解説します。
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連作障害とは
同じ作物、あるいは同じ科の作物を同じ土地で栽培し続けると、生育が悪くなったり収量が減少したりすることがあります。このような現象を「連作障害」と呼びます。
連作障害の原因はさまざまですが、特定の土壌病害虫が増えることが大きな要因とされています。同じ作物を繰り返し栽培すると、その作物を好む病原菌や害虫が土壌中に蓄積し、病気が発生しやすくなります。
また、作物による養分吸収の偏りや、土壌微生物のバランスの変化なども連作障害の一因とされています。
連作障害は多くの作物で見られる現象であり、適切な栽培計画を立てて対策を講じることが重要です。
ジャガイモ(馬鈴薯)の連作障害の原因と症状

dorry / PIXTA(ピクスタ)
ジャガイモは土壌の状態の影響を受けやすく、連作障害が起こりやすい作物の1つです。ここでは、ジャガイモでよく見られる連作障害の症状を紹介します。
病害虫によるもの
ジャガイモの連作では、土壌病害や線虫の被害が発生しやすくなります。
代表的なものとしては、細菌によって引き起こされる青枯病があります。青枯病は、植物がある程度成長した後に急激にしおれて枯れてしまう病気で、葉が青いまま枯れることからその名が付けられました。
また、ジャガイモシストセンチュウも重要な土壌害虫です。この線虫はジャガイモの根に寄生し、生育不良や収量低下を引き起こします。一度発生すると土壌中で長期間生存するため、輪作などの対策が必要になります。
そのほか、ウイルスによる「モザイク病」などにも注意しなくてはなりません。葉が細くなり、モザイク状の斑点が現れるのが特徴です。モザイク病は作物全体に広がっていき、葉や茎を委縮させます。作物を出荷できない状態にまで変異させるので、農家としては大打撃といえるでしょう。
土壌養分の偏りによるもの
連作障害の要因には、土壌養分の偏りも含まれます。
同じ作物を栽培し続けると、特定の養分が多く消費されるため、土壌の養分バランスが崩れることがあります。その結果、作物の生育が不安定になり、収量や品質の低下につながる場合があります。
肥料によるもの
作物を育てるうえで重要な肥料も、連作障害の原因となりえます。
同じ科の作物を育て続けていると当然、使用する肥料にも偏りが生まれます。これにより土壌の微生物・養分などが限られてしまい、本来の状態から徐々に遠ざかっていきます。そして、作物によい影響をもたらす養分の量が減ってしまうと、ジャガイモが健全に成長できなくなり、変形や収量の減少といった低質化を招くのです。
ジャガイモ(馬鈴薯)の前後の作付けに相性の悪い野菜

川村恵司 / PIXTA(ピクスタ)
連作障害のリスクが高くなるのは、主に2つのケースです。
まずは、同じ作物を同じほ場で栽培し続ける場合です。同じほ場でジャガイモの作付けを続けると、2年目以降から少しずつ病気や奇形が増えてくる可能性が高くなります。
また、同じ「科」の作物を前後作にする場合も注意が必要です。ジャガイモはナス科の作物のため、ナスやトマト、ピーマンなどの野菜と相性がよくありません。これらの作物をジャガイモの前後作にした場合は、連作障害になるリスクが高まります。
ジャガイモ(馬鈴薯)の連作障害対策

岬太一 / PIXTA(ピクスタ)
連作障害を防ぐためには、いくつかの対策があります。ここでは代表的な方法を紹介します。
時間をおいて栽培する
同じ作物を連続して栽培すると連作障害が発生しやすくなるため、一定期間をあけて栽培することが重要です。
作物によって連作を避けるための推奨年数は異なりますが、早くて1年、長くて数年の休栽期間が必要になります。ジャガイモの場合、約2〜3年空けることが推奨されています。
輪作する
連作を避けるために推奨される休栽期間を「輪作年限」といいます。この輪作年限と前後作の相性を考えて、複数のほ場で複数の作物をローテーションするのが輪作です。
仮にA・B・Cという3つのほ場があった場合、ほ場Aでジャガイモを栽培している間、ほ場Bには、トウモロコシなどほ場Aの作物と科の異なる作物を栽培し、ほ場Cではカボチャなど、ほ場A・ほ場Bと異なる科の作物を栽培します。ほ場A・B・Cの作付けを順に切り替えていくことで、必要な休栽期間を確保していくのです。
ジャガイモの輪作年限は約2~3年ですので、3年に1作以上の間隔になるような作付け計画がよいでしょう。ジャガイモを含む輪作の代表例としては、北海道で行われているジャガイモ・ビート・スイートコーン・豆類などを組み合わせた輪作体系があげられます。
輪作は、かねてより多くの農家で用いられてきました。輪作を導入すれば、土壌のバランスが偏らず、収量を安定させることもできます。 輪作年限と前後作、作期を考えて作付け計画をたてるのは大変ですが、ジャガイモ栽培では取り組みたい課題です。
土壌の消毒を実施する
作物の収穫が終わり、次の作付けをする前に土壌を消毒するのがおすすめです。前の作物に対して集まってきた病害虫を防除し、新しい野菜や果物を育てられる環境を整えます。土壌消毒を効率的に行うなら薬剤を用いるのが一般的です。
安全な種芋を入手する
ジャガイモの栽培では種芋を用いるのが基本です。多くの農家では、前に収穫したジャガイモの一部を種芋として保管し、シーズンが巡ってきたらほ場に植え付けます。ただし、自家採種した種芋にはウイルスや細菌が付着している場合もあり、連作障害を拡大させる原因になってしまいます。
市販されている種芋には、国や都道府県の検査制度に基づいて生産された検査済み種ばれいしょがあります。これらはウイルス病などの検査を受けており、病気のリスクを抑えることができます。
連作障害は農家にとって向き合わなければならない課題の一つですが、連作障害を引き起こす原因について正しい知識と理解をもって栽培計画を立てることで対策が可能です。長期的に安定した収量を確保できるように、被害が起きてからではなく、前もって対策を講じるようにしましょう。
石塚就一
1984年京都府生まれ。会社員を経て、フリーライターに。京都府内でイベント運営や執筆活動する一方で、実家の農業にも従事している。主な生産物は米、ナス、京野菜。実践をともなった見地から、リアルな農業事情を伝えている。なお、京都市の町興しにも参加。目標は「全国区の知名度を誇るイベントを立ち上げて、京都の新しい魅力を広めること」。