【ナスの害虫】テントウムシダマシの駆除方法は?農薬と防除対策を解説
テントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウ・オオニジュウヤホシテントウ)がナスに寄生することで、ナスの商品価値が大きく損なわれます。テントウムシダマシの防除対策や似た害虫との見分け方、利用できる農薬について解説します。
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ナスの天敵 「テントウムシダマシ」とは?

ニジュウヤホシテントウ ナスの被害葉
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集
テントウムシダマシとは、アブラムシを食べる“益虫テントウムシ”と異なり、幼虫・成虫とも植物の葉を食べて生活する食植性テントウムシ類を指す呼び名です。テントウムシダマシの中でも、ナス科作物では「ニジュウヤホシテントウ」「オオニジュウヤホシテントウ」が害虫として問題になります。
テントウムシダマシは幼虫、成虫ともに葉を加害します。先に葉の裏から加害し、表皮と葉脈を残すため、葉そのものの形状は残り、被害部分だけが透けたようになる点が特徴です。
ほかの害虫は葉の表裏を分けずに加害するため、テントウムシダマシによる被害は一目でわかります。テントウムシダマシが増えると、葉が網目状に食べ荒らされて枯れることもあります。
露地ナスでは6~8月頃に被害が見られ、多発する場合は生育が遅れたり、収量が減少したりすることもあるので注意が必要です。
また、テントウムシダマシの成虫は、ナスの果実も加害します。成虫によって害された果実は、果皮表面にぽつぽつと孔が開いたり、形状が変わったりすることがあります。

ニジュウヤホシテントウ ナス 被害果
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集
テントウムシダマシの生態と発生時期

ニジュウヤホシテントウ 卵塊
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集
テントウムシダマシは、成虫の状態で越冬します。落果した葉の下、樹木の皮下などで過ごすことが一般的です。4月下旬頃になるとナス科の作物のあるほ場に飛来して産卵します。
ひとつの卵塊に20~25程度の卵があり、1匹の成虫が約40~50日間に合計500粒ほど産卵するといわれています。産卵後、約7日経つとふ化し、幼虫が誕生します。約30日間の幼虫期間が過ぎると蛹になり、約7日後に成虫になります。
産卵した時期などにより、成虫は2回から5回に分かれて発生します。そのため、同じ時期に卵から幼虫、蛹、成虫が見られることも珍しくありません。
最も多く成虫が見られるのは7~8月です。また、成虫として過ごす期間が長いため、異なる時期に生まれた成虫も同時に成長し、被害が大きくなることがあります。
害虫「テントウムシダマシ」と 益虫「ナナホシテントウ」の見分け方

meromeropanchi / PIXTA(ピクスタ)
テントウムシダマシと似た虫として、ナナホシテントウが挙げられます。見た目は似ていますが、ナナホシテントウはアブラムシなどを捕食する益虫なので、防除する必要はありません。
ナナホシテントウとテントウムシダマシには大きく4つの違いがあります。
1つ目は、翅の黒点の数です。ナナホシテントウには7つ黒点があり、テントウムシダマシには28個黒点があります。
2つ目は、前者は翅に光沢がありますが、後者の翅には光沢がないという点です。
3つ目は、テントウムシダマシは翅にうっすらと毛が生えていますが、ナナホシテントウには生えていません。
4つ目は、幼虫の時点でテントウムシダマシには背部にトゲがありますが、ナナホシテントウの幼虫にはトゲがありません。

ニジュウヤホシテントウ 成虫
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

ナナホシテントウ 成虫
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集
テントウムシダマシに有効な3つの防除対策
テントウムシダマシは、成虫だけではなく幼虫もナスの生育に影響を与えます。特に成虫は、葉だけにとどまらず果実にも大きな被害を与えるので、農薬などを活用して適切に防除することが必要です。
この項では次の3つの防除対策を解説します。
- テントウムシダマシ類に適用のある農薬(殺虫剤)を散布する
- ジャガイモ(馬鈴薯)の作付け場所から離れたところへほ場を設置する
- ほ場周辺の雑草を徹底して取り除き、防虫ネットなども活用する
※ここで紹介する農薬は、2026年1月5日現在、テントウムシダマシ類の防除に登録のあるものです。実際の使用に当たっては、使用時点での作物に対する農薬登録情報を確認し、ラベルをよく読み、使用方法や使用量を守ってください。
テントウムシダマシ類に適用のある農薬(殺虫剤)を散布する
テントウムシダマシ類に適用がある農薬は少なくありません。その中で、ナスに使える農薬の例を挙げます。
| 農薬名 | 希釈倍数 | 使用液量 | 使用時期 | 使用回数 |
|---|---|---|---|---|
| コテツフロアブル | 2000倍 | 100~300l/10a | 収穫前日まで | 4回以内 |
| アクタラ顆粒水溶剤 | 2000倍 | 100~300l/10a | 収穫前日まで | 3回以内 |
| アディオン乳剤 | 2000倍 | 100~300l/10a | 収穫前日まで | 3回以内 |
| スミチオン乳剤 | 1000~2000倍 | 100~300l/10a | 収穫前日まで | 5回以内 |
出典:
農薬情報登録システム
JAならけん「営農資材ニュース No。24 2018年7月号 テントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウ)の防除について」
株式会社全国農村教育協会「防除ハンドブック」内「トマト、ナス、ピーマンの害虫~テントウムシダマシ類」
テントウムシダマシが多発した場合は、農薬散布による防除が最も高い効果を期待できます。タイミングは幼虫のふ化最盛期を狙うのが効果的です。ただし、幼苗の時期に散布すると、薬害が生じることもあるので注意しましょう。
ジャガイモ(馬鈴薯)の作付け場所から離れたところへほ場を設置する
越冬したテントウムシダマシの成虫は、ジャガイモ(馬鈴薯)のほ場に飛来し、葉に卵を産みつけることが一般的です。
そのため、多品目の栽培などを行う場合、もしくはジャガイモ(馬鈴薯)を新たに作付けしようとする場合には、それぞれのほ場を物理的に離すことで、テントウムシダマシの発生を回避できることもあります。
ほ場周辺の雑草防除を徹底し、防虫ネットなども活用する

スミレ / PIXTA(ピクスタ)
露地栽培では、ほ場周辺の雑草を取り除くことで、テントウムシダマシが発生しにくい環境にすることができます。また、雑草を徹底的に取り除くことは、テントウムシダマシの飛来防止にもつながります。
ハウス栽培の場合は、防虫ネットが効果的です。テントウムシダマシの体長は6mmほどなので、防虫ネットは目合い4mm以下のものを選ぶとよいでしょう。

hamahiro / PIXTA(ピクスタ)
ナスやジャガイモ(馬鈴薯)などのナス科の作物には、テントウムシダマシの害虫がつくことがあります。
テントウムシダマシの被害は、ナスやジャガイモ(馬鈴薯)などの葉だけではなく果実にも及ぶため、果実の商品価値を落とさないためにも、成虫が発生する前に防除対策を講じることが重要です。紹介した防除方法を参考に、テントウムシダマシなどの害虫による被害対策に役立ててください。
林泉
医学部修士、看護学博士。医療や看護、介護を広く研究・執筆している。医療領域とは切っても切れないお金の問題に関心を持ち、ファイナンシャルプランナー2級とAFPを取得。