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【桃の新品種】山梨・福島・岡山で注目の品種は?特徴と栽培メリットを解説

【桃の新品種】山梨・福島・岡山で注目の品種は?特徴と栽培メリットを解説
出典 : Taisuke / PIXTA(ピクスタ)

桃は品種改良が活発に行われており、どの品種を選ぶかによって収穫時期や栽培方法が異なります。本記事では、桃の名産地である山梨・福島・岡山で注目される品種をはじめ、特徴的な新品種を紹介します。新品種導入を検討している方は参考にしてください。

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桃の品種選定ポイントとは?

桃の園地

masy / PIXTA(ピクスタ)musashi / PIXTA(ピクスタ)

桃は、新品種の開発が活発に行われている果実です。既存品種よりも、栽培の効率化しやすさや高収益化といった農家にとってのメリットが大きい特性を持った品種も多く登場しています。

桃は経済樹齢が短く、品種や環境にもよりますが、15~20年程度で新しい樹に更新する必要があります。その際には、次のようなポイントから経営方針を定め、目的に合う新品種を検討してください。

  • 主力品種が出回る前に出荷できる
  • 収穫時期を分散し、長期間にわたって出荷できる
  • 栽培特性が園地の環境や希望の栽培方法に合っている
  • 食味が良好で市場競争力が高く、高単価が狙える

近年になって品種登録された桃の品種の中から、上記の特徴に合ったものを紹介します。

【桃の新品種】山梨・福島・岡山で注目の品種

山梨県・福島県・岡山県など、桃の名産地ではさまざまな特徴を持つ品種が開発されてきました。該当地域のみで生産されることが前提となっている新品種をいくつか紹介します。

桃 出荷前の選別作業

taka / PIXTA(ピクスタ)

山梨県:「夢桃香」「夢みずき」

山梨県は日本有数の桃の産地として知られ、新品種への取り組みも盛んです。近年、注目を集めている山梨県オリジナルの新品種「夢桃香(ゆめとうか)」と「夢みずき」について紹介します。

「夢桃香」は山梨県果樹試験場で開発され、2019年に品種登録、2022年に市場出荷が始まった新しい品種です。大玉で果肉が硬く、収穫後も柔らかくなりにくいため日持ちがよいという特徴があります。

従来の早生品種では食感や日持ちの点で課題がありましたが、「夢桃香」はしっかりとした歯ごたえを保ちつつ、瑞々しさと高い糖度を両立しています。また、見た目も美しく、果汁たっぷりでジューシーなため、消費者や市場関係者から高評価を得ています。県内ではJAや自治体が普及・PR活動に力を入れ、産地化も順調に進んでいます。
一方の「夢みずき」は、「浅間白桃」と「暁星」を交配して山梨県果樹試験場で育成された早生白桃です。2013年に品種登録され、県のオリジナル品種として各生産団体からの注目度が非常に高い品種です。

特徴としては大玉で糖度が高く、果汁も豊富でみずみずしさが際立ちます。酸味・渋みも少なく、食味良好。果皮は赤く着色しやすく、見た目も鮮やかです。山梨県内の生産面積は拡大傾向であり、今後主力品種となることが期待されています。

出典:
山梨県「登録品種情報 モモ・スモモ・オウトウ」
山梨県 おいしい未来へ やまなし 「もも」

福島県:「シーエックス」 「ふくあかり」

福島県で注目される桃の新品種として、「シーエックス」と「ふくあかり」を紹介します。

「シーエックス」は福島県伊達地域などで開発・産地化が進められている晩生の新品種で、2013年に品種登録され、2020年代に市場流通が始まりました。

特徴は、果肉が非常に硬く、大玉で甘さが強く、収穫直後はりんごのような食感が楽しめる点です。高温にも強いため、近年の気候変化による品質安定への期待も高く、福島県産桃のブランド力を高める品種として注目されています。

一方の「ふくあかり」は、2013年に新品種として出願され、2016年に品種登録された桃です。糖度が12~14度以上と甘味が強く、果実の形が優れています。

7月下旬に収穫される早生ですが、早生品種にしては果実が250~300gと大きいことも特徴です。苗木は福島県内でのみ配布され、生産拡大が続いており、将来的にも福島を代表する桃として期待されています。

出典:
農林水産省「登録品種データベース」
福島県「福島県オリジナル品種」所収「オリジナル新品種(モモ)「ふくあかり」について」
福島県「種苗法の一部改正について」所収「福島県オリジナル登録品種ごとの取扱い」
農林水産省「品種登録ホームページ|登録品種データベース|ふくあかり」

岡山県:「おかやま夢白桃」「白露」

岡山県で注目される桃の新品種としては、「おかやま夢白桃」と「白露(はくろ)」の2種が挙げられます。

「おかやま夢白桃」は、岡山県が2005年に品種登録したオリジナル白桃です。果実が非常に大きく、1玉が400gを超えることもあります。

果皮は淡い乳白色で美しく、上品な見た目も特長です。糖度が14~15度と非常に高く、果汁も豊富で滑らかな食感を楽しむことができます。岡山県およびJAでは「清水白桃」に次ぐ次世代の看板品種として産地化やPR活動を強化しており、県内外の市場で非常に高い評価を得ています。

一方の「白露」は、岡山県農林水産総合センターによって「清水白桃」を自然交配で改良した品種で、2016年に品種登録されました。2019年に県内全体で初出荷が始まった、比較的新しい晩生品種です。

果皮は熟しても緑白色に近いため、収穫時期の見極めが難しいものの、硬めの果肉を持ち、日持ちがよい特徴があります。県およびJAでは「白皇」と並ぶ岡山ブランド構築の主力品種として育成・普及を積極的に進めています。

出典:
JA晴れの国岡山「岡山の桃」
岡山県 農林水産総合センター 農業研究所「平成26年度試験研究主要成果」所収「「白鳳」と同時期に成熟する中生のモモ新品種「岡山モモ17号」の育成」

【桃の新品種】高単価を狙える極早生品種

「ちよひめ」の親系統 極早生種の「高陽白桃」

akicya / PIXTA(ピクスタ)

栽培農家の多い主力品種が出回る前に収穫して出荷できると、単価が高くなり、収益性を高めることができます。このような極早生の特性を持った新品種を2つ紹介します。

高糖度で食味も良好な白肉品種 「ひめまるこ」

桃の極早生には「ちよひめ」などがあり、満開から約70日で収穫できます。「ひめまるこ」は、さらに9日ほど早く収穫することが可能です。果実は170gほどと小さめで、果肉は白色で糖度が15%と高く、酸味が少ないので食べやすい点も特徴です。

ひめまるこは2019年に新品種として出願され、2021年に品種登録されました。育成された茨城県つくば市では6月上旬に成熟しますが、つくば市以外にも「ちよひめ」や「はなよめ」を栽培している地域であれば、栽培に適していると考えられます。

なお、ひめまるこという名前は、やや小さくてかわいらしい桃であることに由来します。また、裂果することが少なく、着色も良好なため、無袋栽培が可能です。

出典:農研機構「品種詳細 ひめまるこ」

やや小ぶりながら食味に優れる黄肉品種 「ひめこなつ」

「ひめこなつ」は開花から収穫までが約60日と、従来の早生よりもさらに10日以上早く収穫できる品種です。

3月中に開花する温暖な場所であれば、5月下旬から6月上旬には収穫できます。梅雨が始まる前に収穫可能なため、雨による品質低下を回避でき、品質と収量が安定している点もひめこなつの特徴です。

ひめこなつは2007年に新品種として出願され、2009年に品種登録されました。果実は120gほどと小さめで、果肉は黄色で糖度は12%超、酸味と渋みがいずれも少なく、食べやすい品種です。

ひめこなつも裂果が少なく、無袋栽培ができます。桃を栽培している地域であれば栽培可能ですが、収穫期が早いため、温暖な地域の露地栽培に適しているといえるでしょう。

出典:農研機構「品種詳細 ひめこなつ」

【桃の新品種】栽培特性に強みのある品種

桃の人工授粉作業、袋掛け作業

あこたま / PIXTA(ピクスタ)・papilio / PIXTA(ピクスタ)

栽培特性に特徴がある品種としては、暖冬でもよく結実する品種や、花粉が多く受粉樹や人工授粉作業が必要ない品種、無袋栽培が可能な品種などが挙げられます。

以下では、無袋栽培が可能な3品種を紹介します。

桃の無袋栽培

東北の山親父 / PIXTA(ピクスタ)

冬の気温が高くてもおいしい実をつける 「さくひめ」

温暖化の影響で西日本の暖地では、低温要求時間を満たせず、結実しにくくなる品種がでてきました。

「さくひめ」は、開花から収穫までに約90日かかりますが、低温要求時間は555時間(茨城県つくば市)と主要品種の約半分と短く、温暖化によって冬に気温が下がらない地域で安定した収量が見込める品種です。花粉があるため受粉樹が不要で、栽培しやすい点もさくひめの特徴です。

さくひめは2016年に新品種として出願され、2018年に品種登録されました。果肉は白色で、果実の重さは250g程度、糖度は12~13%で酸味が少なくて食べやすい品種です。

日川白鳳に比べると果皮の一部に緑色が残りやすいですが、落果や核割れが少なく、比較的栽培しやすい傾向にあります。ただし、開花時期が早いため、晩霜害のリスクがある点には注意が必要です。

なお、さくひめの名前は一般的な品種よりも開花時期が早いことに由来します。

出典:農研機構
「品種詳細 さくひめ」
「プレスリリース (研究成果) 西南暖地に向く早生モモ新品種「さくひめ」」(2017年6月28日)

無袋栽培でも高い外観品質を保つ 「つきかがみ」(黄肉品種)

「つきかがみ」は茨城県つくば市では4月上旬に開花時期を迎え、収穫時期は8月下旬です。6月頃に収穫となる桃もある中、かなり遅めといえるでしょう。また、花粉があるため人工授粉が不要で、なおかつ樹勢が強くて栽培しやすい点も特徴です。

つきかがみは2010年に新品種として出願され、2011年に品種登録されました。果肉は黄色で、果実の重さは350g程度と大きく、糖度は13~14%、酸味は「黄金桃」よりやや少なく食べやすい品種です。

桃を栽培している地域であれば、つきかがみを栽培できます。果皮の荒れが少ないため外観品質が良く、無袋栽培が可能な点もつきかがみの魅力です。

出典:農研機構
「品種詳細 つきかがみ」
「プレスリリース 大果で食味の優れる黄肉モモ新品種「つきかがみ」」(2010年10月27日)

袋掛けを省略可、リレー出荷の中継ぎを担う 「つきあかり」(黄肉品種)

「つきあかり」は4月上旬に開花し、7月下旬から8月上旬に収穫される品種です。同じく黄色果肉の主要品種である「黄金桃」よりも2週間ほど早めに収穫でき、収穫時期が異なる桃を栽培している農家では、リレー出荷の中継ぎを担います。

つきあかりは2008年に新品種として出願され、2010年に品種登録されました。果実の重さは250g程度、糖度は14%と高めで酸味が少なく、味が安定していることが特徴です。

東北から九州まで、桃を栽培している地域であればつきあかりを栽培できます。微細な裂果が生じることはありますが、深刻な状態に陥ることは少なく、無袋栽培にも適しています。

出典:農研機構「品種詳細 つきあかり」

桃 黄肉種 白肉種

株式会社キタデザ(北村笑店) / PIXTA(ピクスタ)

【参考情報】 桃の品種特性は“台木”によっても変化する

特筆すべき強みのある桃品種を紹介しましたが、同じ品種でも台木によってその特性が変化することに注目しましょう。例えば、低温要求量が少ない「オキナワ」を台木とすると、「おはつもも」を台木とする場合よりも低温要求の時間が少なくなる傾向にあります。

また、「ひだ国府紅しだれ」を台木とする場合は、おはつももよりも桃の樹の主幹障害が発生しにくくなるという報告もあります。健全な樹体生育を維持するためにも、検討してみてはいかがでしょうか。

そのほかにも、「ネマガード」を台木にすると樹冠拡大が早く、早期多収性が向上するという報告もあります。ひだ国府紅しだれは樹冠拡大がやや遅いですが、幹の断面積当たりの収量が多くなるため、生産効率が向上します。

桃の品種ごとの特性だけではなく、台木にも注目することで収穫時期や収量などを制御しやすくなります。

複数の品種の桃を栽培する場合には、リレー出荷がうまく機能するように収穫時期をコントロールする必要があります。適切な品種と台木を選び、効率性の高い栽培をめざしましょう。

▼桃の多品種栽培などについては、こちらの記事もご覧ください。

桃は毎年多くの新品種が誕生しています。外観や糖度、果汁の多さなどが異なるだけではなく、極早生や早生、無袋栽培が可能な品種など、さまざまな特徴がある桃も多く開発されています。地域ごとに開発された桃もあるため候補として検討できます。

また、台木によっては生産効率や収穫時期をコントロールしやすくなるため、併せて検討されてはいかがでしょうか。

林泉

林泉

医学部修士、看護学博士。医療や看護、介護を広く研究・執筆している。医療領域とは切っても切れないお金の問題に関心を持ち、ファイナンシャルプランナー2級とAFPを取得。