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【2025最新】梨の新品種一覧! 食味や収量に優れ育てやすいのは?

【2025最新】梨の新品種一覧! 食味や収量に優れ育てやすいのは?
出典 : やたがらす / PIXTA(ピクスタ)

梨の新品種は、栽培地域や収穫時期に合わせて多様な特徴を持っています。苗木の選定や導入時期が各品種で異なり、群馬県や鳥取県などで地域独自の取り組みも広がっています。本記事では、梨の新品種の事例や苗木選びや栽培計画について解説します。

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そもそも日本梨にはどんな種類がある?

かおり(青梨) あきづき(赤梨)豊水 (赤梨)

かおり(青梨) あきづき(赤梨)豊水 (赤梨)
出典:株式会社 PR TIMES(松戸市役所 ニュースリリース 2021年7月28日)

日本梨(和梨・以下日本梨と表記)には皮の色が黄褐色の「赤梨」と、皮の色が淡黄緑色である「青梨」の2種類があります。まずはこの2種類の特徴や、代表的な種類について詳しく解説します。

「赤梨」の特徴と代表的な品種

豊水(赤梨)

豊水(赤梨)
ykokamoto / PIXTA(ピクスタ)

皮はざらざらとしていて、果肉は甘みが強いのが魅力です。また後発の品種になるほど硬くかつ大玉で、日持ちすることも特徴です。代表的なものとしては「幸水」や「豊水」などの品種が挙げられます。

「幸水」は1959年に命名・登録された歴史ある品種で、赤梨ではあるものの、緑の果皮にうっすらと茶色が混じる中間色タイプです。果肉は軟らかく、甘みが強くなっています。「豊水」は幸水を親に持つ品種で幸水よりもやや大きく、優しい酸味と甘みのあるジューシーな果肉が味わえます。

幸水、豊水のほか、豊水よりやや晩生の「あきづき」、大玉の「新高」「新興」、主に長野県で栽培されている「南水」、茨城県のオリジナル品種「恵水」など、赤梨にはさまざまな品種があります。

大玉の「新高」と豊水よりやや晩生の「あきづき」

大玉の「新高」と豊水よりやや晩生の「あきづき」
cozy / PIXTA(ピクスタ)

「青梨」の特徴と代表的な品種

二十世紀(青梨)

二十世紀(青梨)
ララ / PIXTA(ピクスタ)

果皮がつるつるしており、果肉も赤梨に比べてなめらかでさっぱりとした甘みがあります。過去に日本で一世を風靡した「二十世紀」などが代表的な品種です。

「二十世紀」は1888年に千葉県で偶然発見された品種で、鳥取県を代表する果実でもあります。大きさは300gほどでかつ果肉は果汁を多く含み軟らかで、甘みのなかにさわやかな酸味があります。また派生品種として「ゴールド二十世紀」や「おさ二十世紀」、「瑞秋(二十一世紀)」などが生まれている人気の品種です。

ゴールド二十世紀(青梨)

ゴールド二十世紀(青梨)
ERI / PIXTA(ピクスタ)

都道府県別・日本梨の生産量は?

次に日本梨がどこでどの程度生産されており、いくらで取引をされているかなど流通の現状について詳しく見ていきましょう。

【日本梨の生産量】都道府県ランキング

日本梨の収穫量を都道府県別にみると、2024年産では千葉県が第1位で、続いて茨城県、福島県、栃木県、長野県が上位を占めています。

これら上位5県で全国収穫量の約4割を占めており、産地ごとに導入されている品種も特徴的です。千葉県や茨城県では幸水や豊水といった主力品種に加え、栃木県の「にっこり」や茨城県の「恵水」などの新品種の作付けも広がりつつあります。福島県や長野県でも赤梨系が中心ですが、地域の気候に適した新品種を取り入れる動きが進んでいます。

全国的にみると、従来の主要品種に加え、近年発表された新品種や苗木の導入が産地の競争力を高める鍵となっており、今後は収量だけでなく多様な品種構成が一層重要になると考えられます。

都道府県収穫量割合主な産地
都道府県千葉2万1,400t12%幸水、豊水、あきづき、新高など
収穫量茨城1万7,100t1%幸水、豊水、あきづき、新高、恵水など
3位福島1万4,800t9%幸水、豊水、あきづき、南水など
4位栃木1万4,600t8%幸水、豊水、にっこりなど
5位長野1万1,700t7%幸水、豊水、南水など
その他9万3,100t54%
全国17万2,700t100%

出典:農林水産省「令和6年産日本なし、ぶどうの結果樹面積、収穫量及び出荷量」よりminorasu編集部作成

栃木県のオリジナル品種「にっこり」

栃木県のオリジナル品種「にっこり」
出典:株式会社 PR TIMES(東京スカイツリータウン ニュースリリース 2020年10月29日)

茨城県が育成したオリジナル品種「恵水」

茨城県が育成したオリジナル品種「恵水」
出典:株式会社 PR TIMES(茨城県営業戦略部販売流通課 ニュースリリース 2020年9月5日)

【日本梨の生産量】収穫量・結果樹面積の推移

日本梨の収穫量は、2009年まで年間約30万tを上回る水準で推移していたものの、その後は年を追うごとに漸減傾向をたどり、近年はおおよそ18〜20万tの水準まで落ち込んでいます。2023年産とピークだった2005年産を比較すると、約49%も減少しています。

2020年産は、約17万tと最も低い収穫量となっています。大産地の茨城県・千葉県・栃木県において、開花受粉期の低温で着果数が減少し、夏季の天候不順で生育障害の「みつ症」が多発したことが影響しています。

日本梨の収穫量の推移

出典:農林水産省 作物統計 果樹生産出荷統計よりminorasu編集部作成

結果樹面積は、2003年には約1万5,700haありましたが、その後は年々減少を続けています。高齢化による栽培農家数の減少に伴い、2023年は約9,800haと2003年と比較して36%減少しました。

日本梨の結果樹面積の推移

出典:農林水産省 作物統計 果樹生産出荷統計よりminorasu編集部作成

各産地では、老木の改植と新しい方式の仕立て(例:主枝を連続的に接ぎ木で連結するジョイント方式)による早期成園化などで生産性向上を図ろうとしています。

ジョイント方式の梨の園地(千葉県)

kuro3 / PIXTA(ピクスタ)

【2025最新】赤梨の新品種

赤梨

kikisorasido / PIXTA(ピクスタ)

次にまだ商用出荷が始まってから間もない赤梨の新品種を5種類紹介します。

気温が低い南東北でもお盆前に収穫可! 極早生品種「はつまる」

農研機構果樹研究所で育成され、2014年12月に公表された品種です。幸水よりも20日ほど早く成熟する極早生で、南東北地域でも、需要の高まるお盆前の収穫が可能です。交配の組み合わせは筑水と筑波43号で、樹勢は幸水よりやや強くなっています。

糖度と酸味は幸水と同程度、果肉は幸水よりも軟らかく肉質のよさが魅力です。果重は約330gと幸水よりもやや小ぶりです。

黒斑病に抵抗性あり。大玉品種「なるみ」

農研機構によって育成され、2015年11月に公表された品種です。人工授粉の省力化ができる日本梨の品種として普及が期待されています。人工授粉による自家結実が68.3%と高く、無受粉での結実率も50%以上あります。人工授粉なしでも十分に結実するため、省力化が可能な品種として期待されています。

交配組み合わせは、新高×豊水の系統とおさ二十世紀×豊水の系統で、樹勢は豊水と同程度、豊水より若干酸味が少なく、糖度と果肉の軟らかさは豊水と同程度となっています。黒斑病に抵抗性がありますが、黒星病が多発するとの報告もあるため徹底した防除が必要です。

黒斑病 発病葉

黒斑病 発病葉
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

食味や見た目の品質も高い早生品種「玉水(ぎょくすい)」

玉水は、福岡県農林業総合試験場で育成され、2021年に品種登録された赤梨の新品種です。成熟期は幸水よりも10日以上早く、7月下旬から収穫できる極早生タイプで、需要の高まる夏の出荷時期に対応できるのが特徴です。

交配の組み合わせは「新高」と「筑水」で、樹勢はやや強く、生育も安定しています。果実は赤褐色で見た目が美しく、果重は約350gと中玉サイズです。糖度は13度前後で甘みが強く、酸味は少ないため食味評価も高くなっています。

見た目の均整がとれた果実で市場性が高く、果肉も緻密で果汁が多いことから、農家と消費者の双方から注目される新品種となっています。現在は福岡県内限定で栽培されており、福岡県産地での露地栽培を前提に普及が図られています。

苗木の新梢成長が旺盛。早期の収量確保が期待できる「瑞月(ずいげつ)」

瑞月は、愛知県農業総合試験場と農研機構が共同で開発し、早生性を持つ「築波50号」と晩生性を持つ「歓月」を交配した新品種です。成熟期は8月中旬頃で、中生から早熟タイプとして位置づけられています。

果実は糖度が高く酸味が少ない良食味で、消費者の嗜好に合いやすい性質を備えています。果形は円形で、果皮は黄赤褐色を呈し、外観は「幸水」に近い印象です。さらに花芽の着生も良好で、腋花芽や短果枝において安定して花芽を確保できます。

受粉管理の面でも導入しやすく、苗木段階からの生育が早いことから、比較的短期間で収量を確保できることが期待されています。現在は愛知県内を中心に栽培されており、品質基準を満たした「瑞月」は、愛知県内で「愛みずき」というブランド名で販売されています。

2025年に品種登録された「天空のしずく」

天空のしずくは、長野県南信農業試験場で育成され、2025年に品種登録された日本梨の新品種です。9月上旬から中旬に収穫できる中生系で、出荷リレーの隙間を埋める品種として期待されています。

果実は円形で400~500gと大玉に分類され、果皮は黄赤褐色を帯び、果肉はみずみずしくシャリ感があり、糖度も高いのが特徴です。

出典:長野県「南信農業試験場 新たに育成した品種(令和7年7月18日品種登録)」
JA長野県「南信州生まれの新なし「天空のしずく」品種登録」

【2025最新】青梨の新品種

青梨

dekoboko / PIXTA(ピクスタ)

赤梨ほどではありませんが、青梨も新しい品種がいくつか登場しています。次にそれぞれの品種の特徴を紹介するのでぜひチェックしてください。

特徴的な外観でも食味は抜群! 「秋麗(しゅうれい)」

特徴的な外観の梨「秋麗」

特徴的な外観の梨「秋麗」
出典:株式会社 PR TIMES(松戸市役所 ニュースリリース 2019年9月2日)

秋麗は、2001年に公表された中生の新品種です。成熟期は「幸水」と「筑水」の間にあたる8月下旬から9月上旬で、夏の需要期から秋口にかけて出荷できる中生タイプとして利用されています。

果実はやや縦長で、外観は赤褐色から淡褐色が入り混じる独特な色調を示しますが、果重は350~450gと中~大玉サイズ。糖度は13~14度で甘みが強く、酸味が少ないため食味評価が非常に高いことが特徴です。果肉は緻密で果汁が豊富であり、香りもよく上品な甘みが楽しめます。

市場では見た目よりも食味の良さで高い評価を得ており、近年は熊本県を中心に作付けが広がっています。農家からは、独特の外観を逆に強みとしてブランド化する動きもみられます。

果面のさびが少ない、早生でも大玉な「なつしずく」

 なつしずく

なつしずく
出典:写真AC

なつしずくは、2006年に公表された青梨の新品種です。7月下旬から収穫できる極早生タイプで、需要の高まる夏の出荷時期に対応できるのが特徴です。

交配の組み合わせは「筑水」と「平塚25号」で、樹勢は中程度。果実は果面のさびが少なく、無袋栽培でも形が整いやすい点が評価されています。果重は400g前後と極早生品種としては大玉に分類され、糖度は12~13度で甘みが安定しており、酸味は少なめです。

果肉はやや軟らかく果汁が豊富で、食味はさっぱりとしています。見た目が美しく大玉であることから市場性が高く、現在は西日本を中心に栽培が広がっています。早生品種として収穫リレーを組み立てやすく、農家からも注目される品種です。

8月上旬に収穫できる極早生梨「夏さやか」

夏さやか

出典:鳥取県「梨新品種の紹介 夏さやか」

夏さやかは、2008年に公表された、鳥取県オリジナルの青梨品種です。8月上旬から収穫できるのが大きな特徴で、夏の需要期に合わせた出荷が可能です。

交配の組合せは「おさ二十世紀」と「八雲」で、樹勢は中程度、果実は淡緑色で果重は約350gと中玉サイズで、外観は二十世紀に似ています。糖度は12~13度で、酸味が少なくすっきりとした甘さが特徴で、果汁も豊富です。

外観は従来の青梨に近いものの、極早生である点が最大の強みであり、夏の梨市場における新たな需要を開拓しています。

自家和合性を備えた大玉青梨新品種「新碧(しんみどり)」

新碧

出典:新潟県「ニホンナシ育成品種「新碧」(しんみどり)」

新碧は、新潟県農業総合研究所園芸研究センターで育成され、2021年に品種登録出願、2023年に登録された青梨の新品種です。

樹勢は中程度で、腋花芽や短果枝の着生が多く、自家和合性を持つため人工授粉に頼らずとも安定した結実が見込めます。黒斑病や黒星病への耐性が強く、袋かけを省略した無袋栽培にも適応できる可能性が示されています。果実は黄緑色で果重は約600gと大玉傾向で、糖度は14度前後、酸味が少なく食味評価が高いのが特徴です。

労力軽減とコスト削減が期待でき、生産現場における省力化に大きく貢献する品種として、現在は新潟県内の産地で苗木の植栽が進んでいます。本格的な商用出荷は2027年頃と見込まれており、県内ブランド梨の新たな柱として注目されています。

収穫期の梨の園地

やたがらす / PIXTA(ピクスタ)

現在日本では赤梨が主流となっていることから、赤梨で多くの新品種が生まれています。また、青梨にも比較的新しい品種がいくつかあります。

今回は、開発されて比較的日が浅い梨の新品種の特徴を、赤梨と青梨にわけて紹介しました。是非、改植や園地拡大を検討する際の参考としてください。

百田胡桃

百田胡桃

県立農業高校を卒業し、国立大学農学部で畜産系の学科に進学。研究していた内容は食品加工だが、在学中に農業全般に関する知識を学び、実際に作物を育て収穫した経験もある。その後食品系の会社に就職したが夫の転勤に伴いライターに転身。現在は農業に限らず、幅広いジャンルで執筆活動を行っている。