ネギの生産量ランキング!日本一は?上位の都道府県と代表的な品種
ネギの国内生産量は約40万トンで、茨城・埼玉・千葉の3県が全体の3割以上を占めています。家庭向けや業務・加工用と用途が幅広く、各地域でブランド品も開発されています。本記事では、地域別の生産量や品種の特徴、生産動向のポイントを解説します。
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ネギの生産量(収穫量)と卸売価格の推移
2023年産のネギの収穫量は、41.63万t、作付面積は2万1,500haでした。2014年以降の推移をみると、収穫量・作付面積ともに徐々に減少しています。

出典:農林水産省「作物統計調査|作況調査(野菜)」の「長期累年」「令和5年産野菜生産出荷統計」よりminorasu編集部作成
しかし、卸売価格は逆に高くなっています。2023年以降から1kg当たりの価格が400円を超えています。

出典:農林水産省「青果物卸売市場調査報告|長期累年」よりminorasu編集部作成
【都道府県別】ネギの生産量ランキング
農林水産省の年産野菜生産出荷統計によると、2023年産ネギの都道府県別収穫量ランキングは以下の通りです。
2023年産 ネギの生産量(収穫量)ランキング
| 順位 | 都道府県 | 収穫量(t) | 作付面積(ha) | 10a当たり収量(kg) |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 茨城 | 52,900 | 2,010 | 2,630 |
| 2位 | 埼玉 | 48,500 | 2040 | 2,380 |
| 3位 | 千葉 | 48,300 | 1,970 | 2,450 |
| 4位 | 大分 | 21,800 | 1,200 | 1,820 |
| 5位 | 北海道 | 20,000 | 605 | 3,310 |
| 6位 | 群馬 | 18,400 | 887 | 2,070 |
| 7位 | 長野 | 15,500 | 757 | 2,050 |
| 8位 | 栃木 | 11,600 | 633 | 1,830 |
| 9位 | 秋田 | 11,600 | 629 | 1,840 |
| 10位 | 鳥取 | 10,300 | 573 | 1,800 |
出典:農林水産省「作物統計調査|作況調査(野菜)|確報|令和5年産野菜生産出荷統計(ねぎ)」よりminorasu編集部作成
ランキング上位にはネギが多く消費される大都市圏に近い千葉県や茨城県、埼玉県といった関東の県が多くランクインしていることがわかります。また、収穫量では第5位ですが、10a当たり収量は北海道が第1位です。
安定した需要がある! データから見るネギの消費量と価格

sasaki106 / PIXTA(ピクスタ)
ネギは一般家庭になじみの深い食材であり、消費量は毎年安定しています。総務省「家計調査年報」で1世帯当たり年間の支出金額と購入数量の推移をみると、最近3年は平均価格が上がって金額が増えていますが、購入数量は最近10年、5kg弱前後で上がったり下がったりしています。

出典:総務省「家計調査|家計収支編|二人以上の世帯|詳細結果表|年次」よりminorasu編集部作成
ネギの価格は、気象の影響で不作になる場合を除き、基本的に出荷量が減る初夏から真夏の時期にかけて高く、その後は緩やかに下落していく傾向にあります。
東京都中央卸売市場の2022年~2024年の取扱数量と卸売価格をみると、5月から8月は1kg当たりの金額が400円を超えていますが、9月以降から下落し11月から2月は200円台を推移しています。

出典:東京都中央卸売市場「市場統計情報」よりminorasu編集部作成
また、ネギはとても消費量の多い食材であることから、指定野菜に認定されています。そのため、指定産地内でネギを栽培している農家は価格が大幅に下落した際に、一定の要件を満たしていれば補給金を受け取ることができます。
なお、指定野菜については以下の記事も参照してください。
【都道府県別】ネギの生産量の多い都道府県の特徴
ここではネギ栽培が盛んな千葉県や埼玉県、茨城県の3つの県の特徴と栽培されている品種を紹介します。
千葉県


出典:株式会社 PR TIMES(松戸市役所 プレスリリース 2021年12月9日)
「矢切の渡し」でも知られる松戸市矢切地区では、名産の「矢切ねぎ」が栽培されている
千葉県でネギ栽培が盛んな地域は、温暖で平坦な土地が多い中東部です。具体的には東金市や山武市、旭市などの複数地域が春ネギや秋冬ネギの指定産地になっています。
当該地域で栽培されている主な品種には松戸市の「矢切ねぎ」や山武地域の「九十九里海っ子ねぎ」があり、ブランド化にも成功しています。
「矢切ねぎ」の誕生は古く、明治初期には本格的に栽培がされていました。特徴は太く肉厚なのにもかかわらず、柔らかさと甘みも兼ね備えているところです。
鍋料理からシンプルなネギ焼きまで幅広い用途で需要があり、全国農産物品評会において3度の農林水産大臣賞を受賞しています。
一方の「九十九里海っ子ねぎ」は、2002年に九十九里沿岸地域を襲った台風の影響をきっかけに誕生しました。ほかの作物が塩害で甚大な被害を被ったのに、あまり影響のなかったネギに着目して開発されました。
ミネラル分の補給を目的として生育後期に10倍に薄めた海水を5回以上散布されているのが特徴です。その結果、太くて柔らかいだけでなく、甘みのあるネギに育ち、消費者の支持を集めています。現在では、テレビや新聞といった数多くのメディアで紹介されるほど評判です。
埼玉県

株式会社PR TIMES(深谷市 プレスリリース 2022年11月14日)
ネギは、埼玉県で最も作付面積が多い野菜で、県を代表する野菜といっても過言ではありません。
主な産地は北部の熊谷市、深谷市を中心とした地域と東部の越谷市、吉川市を中心とした地域に大きく二分されており、それぞれで栽培されている品種が違います。なお、熊谷市は秋冬ネギの指定産地となっています。
埼玉県にはネギの3大ブランドがあります。全国的に有名なブランドである「深谷ねぎ」、そして「吉川ねぎ」と「越谷ねぎ」です。
「深谷ねぎ」の生産の主力は北部地域です。深谷ねぎの収穫は通年で行われていますが、特に12月頃から出荷が始まる秋冬ネギは寒さの影響で甘みが増すことで人気があります。
一方の東部地域では、巻きがかたく調理しやすいことで人気の「吉川ねぎ」や、ほどよい辛味を感じられる「越谷ねぎ」といった夏ネギの生産が主に行われています。
茨城県
茨城県では坂東市やつくば市、常陸太田市など県内各地でネギが生産されています。特に坂東市は春ネギ、夏ネギ、秋冬ネギのいずれも指定産地に認定されているほど栽培が盛んな地域です。
栽培されているのは主に関東で好まれる根深ネギであり、土寄せをしっかり行うことで軟白部がとても柔らかくなるのが特徴です。

出典:株式会社 PR TIMES(茨城県営業戦略部販売流通課 プレスリリース 2019年6月5日)
茨城県産「柔甘ねぎ」は「地理的表示保護制度(GI)」に登録されている
出荷は通年行われていますが、JA水戸で生産される「柔甘(やわらか)ねぎ」は一般的に生産量が低下しやすい4~7月にかけて出荷の最盛期を迎えるため、市場で高く評価されています。

レッドポアロー
Caito / PIXTA(ピクスタ)
茨城県では、そのほかにもJA常陸の「レッドポアロー」(赤ネギ)、JA岩井の「マル岩ねぎ」、「奥久慈ねぎ」といった特色のあるブランド品種を各地域で生産しています。
JAつくば市では2014年から「ねぎプロジェクト」を立ち上げ、新規栽培者を募り生産者を支援しています。定年帰農者や水田複合経営者なども参加し、生産者増加・産地拡大を果たしています。「JAつくば市のねぎ」も柔らかさと甘さで人気のブランド品種となっています。
ネギの代表的な品種

根深ネギ 下仁田ネギ 九条ネギ
たけちゃん / PIXTA(ピクスタ)・ノンノン / PIXTA(ピクスタ)・MIKO / PIXTA(ピクスタ)
ネギには大きく分けて千住群や加賀群が有名な「白ネギ」と、九条群が代表的な「青ネギ」の2種類があります。それぞれの概要は以下の通りです。

近年、東京都卸売市場では病害に強いことと、揃いのよいことが理由で根深ねぎのF1品種が多く出回っています。一方で、京都府の「九条ねぎ」や群馬県の「下仁田ねぎ」など、各地域のブランド品種も人気があります。
出典:独立行政法人農畜産業振興機構「野菜ブック」所収「1.葉茎菜類(3)ねぎ」よりminorasu編集部まとめ
▼下記の記事では夏ネギを中心に代表的な品種を紹介していますので、併せてご覧ください。

Taisuke / PIXTA(ピクスタ)
ネギは日本の家庭料理でも多く消費される食材であり、毎年安定した需要がある作物です。
夏の暑さにはあまり強くないため気温が高くなる初夏から夏にかけて生産量が落ちる傾向にありますが、現在ではさまざまな品種が開発されていることから、安定して栽培できる地域もあります。
また、指定野菜の品目でもあり、対象産地では価格が下落しても補給交付金を受けられる場合があるのも特徴です。
日本では大都市圏に近い関東地域での生産量が多いものの、全国のいろいろな場所が指定産地になっています。これからネギ栽培を始めることを考えている方は、指定産地の対象地域もチェックしてみてはいかがでしょうか。
中原尚樹
4年生大学を卒業後、農業関係の団体職員として11年勤務。主に施設栽培を担当し、果菜類や葉菜類、花き類など、農作物全般に携わった経験を持つ。2016年からは実家の不動産経営を引き継ぐ傍ら、webライターとして活動中。実務経験を活かして不動産に関する記事を中心に執筆。また、ファイナンシャルプランナー(AFP)の資格も所持しており、税金やライフスタイルといったジャンルの記事も得意にしている。

